ワラジムシ目

クマワラジムシ Porcellio laevis Latreille

 
体長最大20o程度。体が黒褐色で尾肢が長いです。雄第1腹肢外肢は三日月形。西日本、特に大阪府、兵庫県南部、山陽、九州、沖縄から知られていますが、もともと地中海沿岸原産です。体幅、体高もかなりあり、小判型の体型と言っていいでしょう。背中はつるんと滑らかです(拡大して見ると若干の顆粒突起はあります)。性格は非常に臆病で、普段はほとんど物陰などに隠れたり床材に潜っていて姿を見ることはほとんどありません。暗くなると活動的になります。大型種ではありますが動きは俊敏です。マンカ幼生達は活発に歩き回ることが多いようですが、小さいときから床材に潜る能力にも長けています。成長するにつれて床材によく潜るようになり、だんだんその姿を見かけることが少なくなっていきます。死んだふり(擬死)をするのがとても得意です。腹側を上にした個体を捕獲しようとすると突然動かなくなり、しばらく(数十秒ほど)様子を見ていてもピクリもとせず、死んでしまったのかと思ってしまうことがあります。繁殖はとても簡単です。


大小併せて40匹ほどいます。


一番大きいのがクマワラジムシです。その上側にいるのはホソワラジムシです。その大きさ、体格の違いがよくわかると思います。左下の小さいのはヤマトサトワラジムシです。





ホソワラジムシ Porcellionides pruinosus (Brandt)


 体長13o程度。赤紫〜赤褐色。頭部側方の突出はほとんどありません。通常時は白っぽい粉が吹いたようになりますが、脱皮直後は光沢があります。ワラジムシよりもやや細身です。本州中部(新潟県、千葉県)以南、四国、九州、琉球列島、小笠原諸島に分布します。また、世界中の温暖帯にも生息しています。人里の草むら、落葉、堆肥中などに生息します。ペットショップなどでも両生類、爬虫類の餌として売られています。移動速度はワラジムシと比べてかなり速いです。床材には潜らないため観察するのに向いています。光(明るさ)に対しても避けることなく活動する性格のようです。




ワラジムシ(通称フトワラジムシ)Porcellio scaber Latreille


 体長最大15o程度(海外では20o程度)。灰褐色ないし暗褐色。背面は多くの顆粒で覆われています。これがフトワラジムシの特徴と言っていいでしょう。雄第1腹肢外肢は半円形で8本以上の棘をもちます。庭、公園、ごみ、草むらなどに生息します。寒冷地では室内で見つかることも多いです。ヨーロッパ原産で世界各地に分布し、わが国では北海道、本州(鳥取県以東)及び徳島県から知られています。通常「ワラジムシ」と言えば本種を指しますが、一般的にはワラジムシ以外のワラジムシも含めひとくくりにして「ワラジムシ」と言うことが多いです。ですからホソワラジムシの「ホソ」に相対する呼称として「フト」をつけて通常「フトワラジムシ」と呼ばれています。動きはゆったりしています。危険が迫っても他のワラジムシほど急ぎ足になりません。床材にも多少潜るようですが、隠れる場所があるときはわざわざ床材に潜らないようです。





ヤマトサトワラジムシ Mongoloniscus nipponicus (Arcangeli)

 体長10o程度。体は丸みを帯びています。ワラジムシやホソワラジムシよりも体高があり、尾肢が短いため、ダンゴムシと間違うこともあります。黒褐色に淡色の不規則な模様をもちます。雄の第1腹肢外肢は著しく深い湾入をもちます。本州中部(東京都、富山県、滋賀県、京都府、大阪府)に分布。人里、公園、林縁に生息します普段は集団を作ってそれほど活発に活動しません。こちらは日本在来種です。外国産のクマワラジムシやワラジムシに比べると繊細な性格のようです。蒸れに弱いですから蓋はしない方が良いです。




ニホンヒメフナムシ Ligidium japonicum Verhoeff

 体長約13oまで。褐色。体表にはツヤがあります。雄の第2腹肢内肢の先端に小型の鉤をもつが変異が大きいです。北海道、本州、四国の湿った森林の落葉層に生息し、極めて多産することから、サンショウウオなどの餌として利用されることがあります。他のワラジムシよりも多湿を好みます。移動速度はホソワラジムシと比べてもかなり速いです。飼育下でも落ち葉をたくさん入れておくと落ち着きます。鑑賞・観察には向かないです。



番外編

ドイツのワラジムシ

 体長15o程度です。ケルンからフランクフルトへ向かう途中のドライブイン脇の空き地で見かけたものを撮影しました。

下画像右側の大きい方はサハラフラワーボールバグを黒っぽくしたような感じです。左のは普通のワラジムシのようです。
 

生き物紹介に戻る

inserted by FC2 system